とにかく当時の日本では、バインミーを探してもなかなか見つからないほど珍しい存在でした。今のように専門店が各地にある時代とはまったく違い、「食べたくても食べられない」という状況だったことをよく覚えています。
ジューシーバインミーをオープンすれば、「バインミー」というまだ知られていない食べ物にマスメディアが注目し、名古屋で一気に広まるだろう──そんなことを本気で思っていました。ところが、最初のテレビ取材が来たのはオープンから半年以上経ってからでした。CBCの「花咲かタイムズ」さんと『前略、大徳さん』(現『前略、大とくさん』)の取材が立て続けにあり、その後もさまざまなテレビ番組や雑誌で取り上げていただきました。
取材のたびに「これからバインミーブーム、来ますね!」と言われていたように思います。
バインミーのお店をやると決めた時、私は「世界中で愛されている味なのだから、日本でも必ず広まる」と確信していました。
2015年頃に一度話題になり、その後は落ち着き、また「これから流行る」と言われ、また落ち着き……。
「これ、本当に流行っているって言えるのかな……」
そんな気持ちを抱えながら、「流行る流行る詐欺」に引っかかり続けているような年月が過ぎ、2024年を迎えました。
それでも、オープン当初と比べれば十分に認知は広がりました。SNSでも「バインミー」という言葉が当たり前のように使われるようになり、おにぎりほどではありませんが、少しずつ日本に根付いてきていることを実感しています。
流行には必ず終わりがあります。しかし、異国の食文化が日本に定着するには、一気に爆発的に広まるより、このくらいのゆっくりとした歩みのほうが、結果的には良いのかもしれません。
オープンした2014年に思い描いていた未来とは、2024年の現実はずいぶん違いました。
それでも、私たちは今日も変わらずバインミーを作り続けています。
(2024年7月現在、外壁落下トラブルにより臨時休業中)








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